


着物
2025/04/14
掲載情報

『美しいキモノ』春号から、「富川匡子のビジネスに効くきもの」の連載が始まりました。
第一回は「会食」シーンを想定して、きもののコーディネイトを説明しています。
着用したのは、京都の木村染匠で誂えた訪問着です。巳年にちなんで鱗模様の袋帯を合わせました。
誌面では書けなかった裏話ですが、この訪問着は、以前、『美しいキモノ』で連載していた「柴咲コウさんのお誂えた旅」で木村染匠さんを訪れたとき、私もお誂えしたくなって、お願いした一枚です。
柄帳からモチーフを選び、下絵を描いてもらいます。
その柄帳は何十冊もあり、まずモチーフを決めるのが大変。
モチーフを「春の波」に決め、そこから下絵を描いていただくのですが、そこですでに3回以上のやりとりが…! 自分の身長や体形に合わせて、どの高さまで模様を入れるか、どこまで広げるか、どこにポイントを置くか、考えることがたくさんあります。
さらに地色選びが悩ましい……
地色は春らしくピンクがいいな、と思ったのですが、ピンクといっても本当にさまざまなピンクがあり、そのなかから絞り込んでいきます。私は色見本帳だけでは納得がいかず、DICやPANTONEといった印刷用の色見本も利用しました。
そこから、模様内の色選びと続きます。計10回弱のやり取りをしたでしょうか。
でもそれが、本当に楽しいのです!
最終的に「匡子」と落款を入れてもらい、私だけの一枚が完成!
お誂えの醍醐味を存分に味わわせていただきました。
下絵の職人さん、友禅の職人さん、刺繍の職人さん……
本当に素晴らしい方がたくさんこの一枚に携わってくださいました。
お誂えは、本当の贅沢。
すべての職人さんへのリスペクト、日本の模様の奥深さ、やり取りをさせていただく染匠さんのお心遣い……。
特別な体験とは、まさにこのこと。
出来上がったきものへの満足度も100%です。

きもの好きなら、お誂えにはぜひ挑戦していただきたいもの。
まさに、他では味わえない特別な体験で、「きもの観」が変わります。
チャンスがあれば、またトライしたいと思っています。
